中小企業の「ワンマン社長」の特徴。ただ気が小さいだけなんです。
前に働いていた、とある中小企業のワンマン社長の会社の話です。
ワンマン社長の特徴といっても、あくまで私の居た場所での感じたことです。
「ワンマン社長」とは
ワンマン社長とは、簡単に言えば、
「何でも自分でやらないと気が済まない」
「社員をコントロールしたがる」
「些細なことでも口を挟む」
「自分に逆らうことを許さない」
このような認識でいます。
中小企業の会社であれば、このような要素はどうしても多くなってしまうかもしれません。
それに小さい会社であれば、社長の力量がものを言うのも否めません。
会社としての体力の問題もあり、社員に任せる余裕も金銭的に無く、のんびり失敗を重ねられる余裕も無いのも確かです。
ですので、社長であるトップの実力やカリスマ性といったものも、会社を生き残らせるには、会社を大きく発展させていくには、必要な要素でもあります。
ワンマン社長の組織としての悪循環
ワンマン社長も時としては、「止むを得ない」「必要な要素」という考え方もありますが、やはり「組織」としては悪い方向というか、悪循環に陥りやすいのではないかと思うのです。
私の例で言うと、そのワンマン社長とは、私がそこに入社する前から面識があり、結構気に入られていました。そこの社員も何人か面識がありました。
私も変わった社長だな~と思いながらも、仕事の考え方や行動力、鋭い観察などには、「さすが経営者は見ているところが違うもんだな」と、軽く尊敬はしていました。
怪しさはあったので対して信用はしていませんでしたが。
ひょんな縁でその会社に入ったわけですが、外から(会社に入る前)見ている分には、社長を中心にまとまっているような印象がありました。
しかし、中から(会社に入ってから)その会社の様子を見ていると、「あ~これがワンマン社長の企業の実態か」と感じたものです。
しばらく経ってからですが。
特徴としては、
- 社長との約束は絶対厳守
- 社長に意見を言うとまず否定から始まる
- 社長に対してイエスマンしかいない
- 社長が居るときは皆和気あいあいとしている
- 社長が居ないときは社員同士で意外と助け合わない(ギャップがある)
- 社長(会社)への不満を誰も口に出さない(裏でも)
- 社長は社員のことを結構信用していない
そのワンマン社長は私を将来会社の後釜として任せるつもりでいたようです。(その程度の弱小企業です)
私はどんなに小さい会社だろうと、経営者としての器量も能力もありませんので、後を継ぐつもりはありませんでしたが、とりあえず放っていました。
しかし、ワンマン社長はその気満々のため、一生懸命自身の経営論を教えてくれました。
その中でも印象に残っているのが、
- 会社はトップが全てを握らないとダメ
- 社員に少しでも任せるような意識は間違い、逆に社員は付いてこない
- 社員から文句を言わせないような関係を作る
- ゴルフを覚えないとダメ
こんな感じです。
そして、新米物の私に対し「私がキミを贔屓にすれば他の社員はキミにも逆らわずに付いてくるから」と、つまり「社長が認めた人に楯突く=社長に楯突く」という図式がその会社に出来上がっていたのです。
びっくりはしませんでしたが、そういう会社なんだと妙に納得しました。
さて、このようなワンマン社長の会社は、得てして会社が発展しない悪循環に陥ります。
ワンマン社長は、何でも自分で取り仕切らないと気が済みません。
つまり逆らうことや意見を言うことをあまり好みません。
好まないどころかこの手の社長は激怒します。
「俺に逆らう=軽んじられた」となるからです。
その結果、社員はイエスマンと成り下がるしかありません。
そうでない社員はどんどん辞めていきます。
つまり会社にはイエスマンしか居なくなるということになります。
これはワンマン社長は多少気分が良いです。
裸の王様ですから。
社員がイエスマンだけということは、言われたことしか基本出来ません。
やりません。
そうするとワンマン社長は全て自分で仕切らなくてはなりません。
「うちの社員はどいつもこいつも使えんな~」「やっぱり俺が居ないとダメだな!俺が仕切らないとこの会社はダメになる!」
「いや~社長が居れば私たちも安心ですよ~」
まるでマンガのようですが、この手の企業は決して珍しくないと思います。
実際問題、この手のワンマン社長が抜けたら、きっと会社はもっと早くにダメになるでしょう。
しかし、このような循環をしているうちは、会社なんて発展しようがありません。
小さい会社がワンマン社長とイエスマンだけで大きくなるとは想像できません。
特殊なカリスマ経営者は別かもしれませんが、それでもワンマンでは長くは持ちません。
ワンマン社長は気が小さいだけ
このような社長を見ていると、卑劣なことも多いですが、悪い人間というよりは、気が小さいちょっと可哀想な人間だなと思うことがあります。
別に上から目線というわけではありませんよ。
私もきっとこのワンマン社長の足元にも足らない人間ですから・・
さて、些細なことに口を出し、逆らうことも軽んじられることも嫌う人は、社員の動向にすごく神経を尖らせています。気の毒なほどに。
はたから見たら何でもない社員の言葉に対しても、妄想を膨らませてとんでもない解釈に持って行くこともあります。
ワンマン社長の特徴のような要素を持っていないと、時には怒号を浴びせないと、社員を縛りつけられないと思っているように感じます。
私もその社長から、よく社員に対する愚痴を聞かされていました。
「仕事が上手く行けば俺(社長)のおかげ、上手く行かなければ社員のせい」。経営者でも承認欲求はあるのですね。
また、その中でよく、「裏切られた」という言葉を出していました。
特に離れていった社員に対してです。
そして私の動向にも常にチェックしているのを、よく感じていました。
「うわ~めっちゃ俺の顔色や動向見られとる・・」
何ともやりきれない思いと共に、そこまで気にし過ぎる神経だと大変だなと、生意気にも憐れみを感じたものです。
このように見ると、悪気があるというよりは、単に気の小ささの表れに過ぎないのかもしれません。
最後に
このようなワンマン社長の会社に未来があるのかないのか、それはわかりませんが、何とも気の毒に思いつつ、微力ながらも会社を良い方向に持っていきたいと当時は思ったものです。
人を惹きつける魅力もあり、社員を思いやる気持ちもなかったわけではありません。
ただ小心というか不器用というような感じでした。
「ワンマン社長=悪い社長」
とも限りません。
誤解のないように言っておきますが、ワンマン社長をネタにこの記事を書いていますが、会社を経営するということは、綺麗ごとだけでは済まされないし、その手の苦労はたかがサラリーマンでは想像も出来ない気苦労があることは察しています。
正に寝る間も惜しんだ悩みが常に付きまとっていて、更に社員の責任も一緒に背負っていることは確かなのでしょう。
そういったことも踏まえつつのワンマン社長の特徴を上げた記事だと思って下さいね。
ただ、このような会社での経験は、今思うと結構楽しかったです。
どんな経験であれ、自分にとってプラスにならないことはないのですよね。
あくまで私の経験したワンマン社長の企業の話です。