大相撲の琴奨菊から学ぶ。「胸を張る」ことでメンタルを鍛えることが出来る!
先日大相撲で優勝した琴奨菊がニュースで話題になっていました。
日本人出身の力士が優勝しのは10年ぶりということであり、さらに琴奨菊の人柄というかキャラが際立って、いろいろと取り沙汰されました。
琴奨菊のメンタルトレーニング
琴奨菊のニュースで取り上げられたのは10年ぶりとなる日本人出身力士だけではありませんでした。
愛嬌あるそのキャラだけでもなく、土俵に上がったときの「ルーティン」と呼ばれるしぐさでした。
琴奨菊のルーティン「琴バウアー」
この画像が琴奨菊の「琴バウアー」と名付けたルーティンのしぐさです。
言うまでもなく、荒川静香の「イナバウアー」から名付けられた「琴バウアー」です。
土俵に上がる際に、大きく仰け反る(のけぞる)ように胸を張り、その後塩を天高く投げるルーティンが、観客への大きなパフォーマンスになり、人気も出たようです。
(大相撲はあまり詳しくないのですが・・・)
この「琴バウアー」と名付けたしぐさは、ルーティンと説明したとおり、単なるパフォーマンスではありません。
琴奨菊は、もともと気が弱いという感じでメンタル面が弱く、その気の弱さから勝てる勝負も勝てなかったと言われています。
また、相撲の勝負で勝った試合と負けた試合とで、その取り組み前の土俵での姿勢に差があったとも言われています。
つまり、取り組む以前の姿勢によって、もう勝ち負けが決まっていたということです。
もちろん一概にそんな区分けは出来ませんけどね。
それだけメンタル面に問題があったということなのかもしれません。
さて、そんなこんなで琴奨菊が取り組んだのがメンタルトレーニングです。
そして、メンタルトレーニングの一環として取り組んだ結果の一つが、ルーティンの「琴バウアー」ということだそうです。
ルーティンの大切さは、去年のラグビーの五郎丸選手でも話題になりましたが、スポーツ選手の多くはこのルーティンを取り入れています。
ルーティンと言えば、五郎丸選手や野球のイチロー選手が有名ですが、実際はほとんどのスポーツ選手は自分なりのルーティンを課していたり、スポーツ選手ではなくとも多くいるそうです。
まぁルーティンの話はここでは割愛しますけどね。
「胸を張る」姿勢が強いメンタルを作る!
さて、ルーティンは人それぞれ様々にあれど、この琴奨菊の「琴バウアー」こと、胸を張る姿勢というのは、それだけでメンタルが強くなると言われています。
胸を張る姿勢が気持ちを作る!
つい最近、こんな書籍をたまたま読んでいました。
サブタイトルは、「コーチングのプロが教える、潜在意識を味方につける方法」と書いており、簡単に言うと、自分を変えたいのであれば潜在意識から良い習慣を身につけましょうというような内容です。
興味があればぜひ読んでみて下さい。
この書籍の中に「姿勢と心の関係」という章があります。
その内容を少し引用します。
接戦の末惜しくも敗れうなだれる選手たちに、監督のみんさんがよく伝えるメッセージがあります。
それは、「上を向け、お前たちはしっかり戦ったんだ!堂々と胸を張って上を向け!」
実はこのシーンで、監督たちは、かなり理に適ったことをやっています。
試合などに負けて、下を向いてうなだれていると、「あの時あーしておけばよかった・・」「あそこで失敗するなんて・・」という感じで、負けた原因ばかりに気持ちが占領されてしまい、いつまでもくよくよしたり、気持ちが沈んでしまいがちになります。
しかし、嘘でもいいから無理やり胸を張って顔を上げていれば、すっぱりと気持ちが晴れていったり、やるだけやった!という一種の開き直りも出てくるものです。
それはもう心も前を向いている証でもあります。
このような試合に負けて悔しい思いをした経験がある人はわかるかと思いますが、やはり落ち込む場面で、「下を向く」のと「上を向く」、「胸を張って堂々とする」のと「背中を丸めて縮こまっている」のでは、立ち直る速さや質に大きな差が出てくるのではないでしょうか。
胸を張る姿勢は脳内のホルモンに影響する
さて、上記の書籍の続きですが、こんなデータがあるそうです。
それは、ハーバード・ビジネススクールで教える社会心理学者の教授が、姿勢とボディーランゲージ(非言語行動)の重要性を強調しており、そしてある実験により、人の姿勢がもたらす影響は、脳内のホルモンに大きく影響を与えるというものです。
以下、引用です。
彼女のある実験では、被験者のグループをランダムに2つに分けて、1つ目のグループには、ハイパワーポーズと呼ばれる自信のある人がよく取るようなポーズを2分間取ってもらいました。
(中略)
一方、もう1つのグループにはローパワーポーズと呼ばれる自信なさげな人たちがよく取るポーズを2分間取ってもらいました。
(中略)
実験では、このわずか2分間の姿勢の違いが、脳内の2種類のホルモンに大きな影響を与えることがわかりました。
1つは支配性のホルモンであるテストステロン、もう1つはストレス度を表すホルモンであるコルチゾールです。
この中の、支配性のホルモンであるテストステロンは、優れたリーダーシップを発揮するリーダーは、その数値が高く、逆にストレス度を表すホルモンであるコルチゾールの数値は低いそうです。
つまり、俗にいう優れた人物というのは、支配性のホルモンが高く、ストレスのホルモンが低いということであり、逆に優れていないというかメンタル面が弱い人というのは、支配性のホルモンが低く、ストレスのホルモンが高いということだそうです。
では、この実験でハイパワーポーズを取ったグループと、ローパワーポーズをとったグループとで、どのぐらいホルモンの数値に差が出たのか・・
支配性のホルモンであるテストステロン値は、ハイパワーポーズを2分間取ったグループでは、何と平均20%上昇し、ローパワーポーズを取ったグループでは逆に10%減少しました。
(中略)
ストレス度を表すホルモンであるコルチゾール値は、ハイパワーポーズを2分間取ったグループでは、平均25%減少し、ローパワーポーズを取ったグループでは、15%上昇したとのことです。
たった2分間のポーズの違いだけで、これだけの数値に差が出たということらしいです。
この著者は、胸を張って上を見ながら落ち込むことが出来ますか? 逆に背を丸めて下を向いて 清々しい気持ちになれますか?
というようなことも言っています。
ここで言いたいことは、単なる気分(心の持ちよう)だけの問題ではなく、科学的に脳内のホルモンに影響を及ぼすと言っています。姿勢がです。
日頃から意識して胸を張ってみよう!
実際に世を見渡してみても、自信のある人というのはやはり姿勢が堂々としている人が多いことでしょう。
逆に自分に自信がないという人で、少なくても胸を張って堂々としている人はあまり見たことがありません。
実際私もそうなんですが、やはり落ち込んだり元気がないときというのは、結構な確率で微妙にうつむき加減なことが多いです。
こんな気分が晴れないのに上なんて見てられるか!ぐらいなもんです。
しかし元気があるときや、逆に開き直って立ち直ったときなどは、意識的に顔を上げて胸を張ることがあります。
上で書いた書籍の内容では、元気が出たから胸を張るのではなく、胸を張る・上を向くという姿勢が、良い気分となる結果をもたらすとありました。
琴奨菊のルーティンたる「琴バウアー」という、胸を大きく仰け反るようにして、顔を空に向けるという姿勢は、メンタル強化により編み出し、そして実際に結果を残せたというのも妙に納得できるものがあります。(もちろんそれだけではないでしょうけど)
この「胸を張る」「上を見上げる」「視線を上げる」という姿勢を、嘘でもいいから日頃から気づいたときに実践してみる。
または、自分なりのルーティン化として、朝起きたとき、通勤・通学で歩いているとき、会社に出社するとき、誰かと会話するとき、勉強を始めるときなど、自分なりに実践してみると、思わぬメンタル面のトレーニングになるかもしれません。
試してみる価値は大いにあると思いますよ。